新しいiPhoneに買い替えたものの、旧端末に蓄えたサイトのパスワードをどう移行すればいいのか不安になっていませんか?
ここでは十年超の開発経験で得たコツを盛り込み、ワンタップ同期から家族に見せずに安全に引き継ぐ裏技まで、図なしでも再現しやすい形で示しています。複雑になりがちな設定の落とし穴も前もって塞ぐので、途中で詰まる心配がぐっと減ります。
読み進めて順に真似するだけで、新端末を手にしたその日のうちに全てのサービスへ迷わずサインインできます。まずは最初の方法から試し、スムーズなスタートを切ってください。
旧iPhoneから新iPhoneへパスワード移行のやさしい手順

パスワードの移行は大きくわけて2つの方法があります。どちらも画面の指示に沿って進めるだけなので安心してください。
- クイックスタートを利用:古いiPhoneと新しいiPhoneを近づけて画面の案内に従うだけの方法です
- iCloudキーチェーンで同期:iCloudに保存されたパスワードを新しいiPhoneで呼び出す方法です
- iOSを最新バージョンにアップデートすると予期せぬエラーを回避できます
- 安定したWi-Fi環境を用意すると移行時間が短くなります
- 両端末は充電器につないでバッテリー切れを防ぎましょう
iCloudキーチェーンで一気に移す

iCloudキーチェーンを使うとSafariのログイン情報やアプリのパスワードをまとめて新しいiPhoneに送れる手軽な方法です。Apple IDとWi-Fiさえあればすぐに同期が始まり、パソコンを用意する必要がありません。
この方法はiOSを最新バージョンにアップデートして同じApple IDでiCloudにログインしているときに特におすすめです。自動的に同期されるので手間が少なく、ネット環境が安定していれば短時間で完了します。
①旧iPhoneでiCloudキーチェーンをオンにする
設定アプリを開いて画面上部の名前をタップしてください。続いてiCloudを選び、その中のキーチェーンをタップします。最後に表示されるiCloudキーチェーンのスイッチをオンにしましょう。途中で端末のロック解除番号(パスコード)を尋ねられたら入力してください。
Apple IDが同じでないとパスワードが同期されないので注意してください。
②新iPhoneの初期設定で同じAppleIDでサインインする
新しいiPhoneを起動すると現れる「AppleIDサインイン」画面で、旧iPhoneと同じメールアドレスとパスワードを入力します。複雑なパスワードは画面右上のパスワード自動入力が使えてラクです。
二要素認証を有効にしている場合は、旧端末や登録済みの電話番号に届く確認コードを待って入力します。タイムアウトに注意しつつ丁寧に数字を打ち込んでください。
サインイン完了後は自動でiCloud同期の準備が始まります。「iCloudバックアップから復元」の画面が表示されるまで安定したWi-Fi環境でしばらく待ちましょう。
③新iPhoneの設定アプリでキーチェーンがオンになっているか確かめる
新iPhoneでパスワード同期の要となるキーチェーンがちゃんと動いているか、優しくチェックしていきます。
ホーム画面の歯車アイコンをタップして設定を起動します。
画面上部に表示されている名前部分をゆっくり押します。
表示されたメニューの中からiCloudを探してタップします。
一覧の中にあるキーチェーンのスイッチが緑色になっていればOKです。
もしスイッチがオフだったら、タップして緑に切り替えましょう。同期に少し時間がかかることがあります。
④Safariを開いてパスワードが同期されたかチェックする
Safariを起動して、適当なサイトのログイン画面を開きます。ユーザー名入力欄をタップすると、キーボードの上に同期されたアカウントとパスワードの候補が並びます。
候補の中に自分の情報が出ていれば同期完了です。何も表示されない場合は画面を下に引っ張って更新するか、設定アプリの「パスワード」でiCloudキーチェーンがオンになっているかを確かめてみましょう。
クイックスタートでまるごと引っ越す

新しく用意したiPhoneをiOS17で起動すると、古いiPhoneを近づけるだけで設定やデータがまるごと移せるのがクイックスタートです。画面に表示されるアニメーションをカメラで読み取るだけのシンプル操作で、アプリや写真だけでなくSafariに保存してあるパスワードやWi-Fi情報も自動で引き継げます。
BluetoothとWi-Fiがオンの状態で両方のiPhoneをそばに置き、画面の案内にしたがってパスコードを入力するだけでスタートできます。エンドツーエンドで暗号化された通信なので、セキュリティ面も安心です。iPhone15シリーズ同士のやり取りなら転送速度も速く、プログラマーの経験から言うと大容量のパスワードデータもスムーズに移動してくれます。
①両方のiPhoneの電源を入れ近づける
①両方のiPhoneの電源を入れ近づける
旧iPhoneと新iPhoneの電源ボタンを長押しして起動します。ホーム画面が表示されたら両方の端末を15cm以内に近づけて置きましょう。この距離ならBluetooth通信が安定しやすく、移行準備がスムーズに進みます。
BluetoothとWiFiがオフだと隣接検出が動作しないので事前にオンにしてください。
②旧iPhoneの画面で続けるをタップする
旧iPhoneの画面に「新しいiPhoneを設定」が表示されたら「続ける」をタップします。数秒後に認証コードの入力画面へ進みます。
③新iPhoneのカメラで青いアニメを読み取る
新iPhoneのカメラが自動で起動するまで画面の指示にしたがって数秒待ってください。
旧iPhoneの画面に表示されたブルーのグラフィックがビューに入るように距離をゆっくり調整します。
枠内に青いグラフィックがすっぽり入ったらピントが合うまで静止してください。読み取りが成功すると「完了」と表示されます。
読み取りに失敗した場合は両デバイスのカメラレンズを拭いてから再度お試しください。
④データ転送が終わるまで待つ
iPhone同士を近づけると自動でデータ転送が始まります。画面に表示される円形の進捗インジケータが100%になるまで何も操作せずに待ちましょう。バックグラウンドで写真やアプリの中身が移っているので、画面を触ると中断のリスクがあります。
新旧どちらのiPhoneも充電ケーブルにつないだままにしておくと、バッテリー切れで途中停止する心配が減ります。
⑤Safariで自動入力が動くか試してみる
Safariを起動して、普段使うサイトのログイン画面を開いてください。
ユーザー名入力欄をタップすると、キーボード上に保存済みのアカウント候補が表示されます。希望のアカウントをタップしてみましょう。
次にパスワード欄をタップすると、自動でパスワードが入力されます。あとは「ログイン」をタップして問題なくアクセスできれば完了です。
キーチェーン同期がオフだと候補が出ません。設定アプリの「Apple ID」→「iCloud」→「キーチェーン」をオンにしてください。
AirDropでピンポイント共有

AirDropを使うと、パスワードだけをさっと送りたいときにぴったりです。iPhone同士が近くにあってBluetoothとWi-Fiがオンになっていれば、何十個ものパスワードをまとめて送る必要がなく、必要なものだけを選んでシェアできます。
- 必要なパスワードだけをピンポイントで送れる
- パスワード全体をまとめてエクスポートせずに済むので安心
- オフラインでもBluetooth範囲内なら操作できる
①設定アプリのパスワードを開く
ホーム画面で歯車アイコンの設定をタップします。
「パスワード」という項目を見つけてタップします。
Face IDやパスコードで本人確認が求められたら、画面の案内に従って解除します。
iOSバージョンによっては「パスワードとアカウント」と表記されることがあります。その場合もパスワード管理画面に進んでください。
②共有したいサイトを選びパスワードを長押しする
まずパスワード一覧から共有したいサイト名を探します。画面上部の検索欄にサイト名を入力すると短時間で見つかります。
項目が見つかったら、軽めのタップではなく2秒ほどしっかり長押ししてください。そうするとメニューが出現し「パスワードを共有」の選択肢が現れます。
万が一メニューが出ないときは、デバイスの反応が遅れているかもしれません。画面中央付近を狙ってややゆっくり力をかけると安定してメニューを出せます。
③AirDropを選んで新iPhoneを指定する
コントロールセンターを開き、ネットワーク設定のカードを長押しして「AirDrop」をタップします。
すべての人または「連絡先のみ」を選んでから、表示された新iPhoneの名前をタップしてください。
新iPhoneでAirDrop受信を「すべての人」に設定すると、認識しやすくなります。
④新iPhoneで受け取り保存をタップする
新iPhoneの画面に「パスワードを受け取り保存」の案内が表示されたら、ボタンをタップしてください。
タップするとiCloudキーチェーンへパスワードが保存され、新iPhoneから自動的に使えるようになります。
新iPhoneがネットワークに接続されていないと同期ができませんので、Wi-Fiまたはモバイルデータの通信状態を確認してください。
パスワード移行ができたらもっと便利!応用アイデア

パスワード移行がスムーズに終わったら、せっかくの設定をさらに活かしてみましょう。普段のログインやセキュリティがもっと快適になるアイデアを集めました。
応用アイデア | 活用メリット |
---|---|
iCloudキーチェーン同期 | 別のiPhoneやMacともパスワードを自動で共有できるので、どの端末でもスムーズにログインできます。 |
パスワードマネージャー連携 | 専用アプリとつなげて一元管理すれば、パスワードの生成や自動入力がもっと簡単かつ安全になります。 |
緊急アクセスの設定 | 万が一のときに家族や信頼できる人がログイン情報にアクセスできるようにしておくと安心です。 |
アプリ内OTP(ワンタイムパスワード) | 二要素認証コードをiOSの標準機能で一括管理すれば、ログイン時にコード確認の手間を減らせます。 |
Macとパスワードをリアルタイムで共有する

iCloudキーチェーンを有効にすると、Macで更新したパスワードがすぐに新しいiPhoneにも届きます。特別なケーブルやエクスポート作業は必要ありませんし、使い慣れたログイン情報をあちこち入力し直す手間が省けます。
- エンドツーエンド暗号化で安心
- ケーブル接続や手動移行なしで超ラク
- パスワード入力の手間を大幅にカット
エンジニア目線のコツとしては、まず両方のデバイスで同じAppleIDにサインインし、iCloudキーチェーンが確実にオンになっているかを確認してください。さらに二段階認証を設定すれば、万が一のときにも安心度がグンと上がります。
Macの設定でiCloudキーチェーンをオンにする
画面左上のAppleメニューからシステム設定をクリックします。
サイドバーで自分の名前を選びiCloudをクリックします。
リストからiCloudキーチェーンを探しスイッチをクリックして緑色に切り替えます。認証が求められたらMacのパスコードまたはApple IDのパスワードを入力してください。
Safariの環境設定で自動入力を有効にする
Safariにパスワードを自動入力させるとログインがぐっとラクになります。
ホーム画面から「設定」をタップし、その中にある「Safari」を選びます。
「パスワードと自動入力」をオンに切り替えます。iCloud鍵束をオフにしていると使えないので先に「設定」→「[あなたの名前]」→「iCloud」→「鍵束」をオンにしましょう。
二要素認証が必要なサイトでは自動入力後に追加コードの入力が求められる場合があります。
家族のiPhoneに安全に渡すコツ

家族にiPhoneをちょっと貸すときに通知にプライベートな内容がチラ見えしちゃうのはドキドキですよね。そんなときはガイデッドアクセスをサクッと設定するのがおすすめです。見せたいアプリだけロックできるので、メッセージや思い出の写真がうっかりのぞかれる心配がなく安心です。
さらにスクリーンタイムでアプリの利用制限や再起動の制限をかけておくと、子どもがゲームに夢中になりすぎるのも防げます。家族に貸す前のちょっとしたひと手間が、安心感をグンとアップさせてくれます。
ファミリー共有でパスワードをメモ共有する
設定アプリを開き画面上部のApple IDをタップします。ファミリー共有を選んでiCloud共有メモがオンになっているか確かめます。
メモアプリを開き新規メモを作成します。パスワードを入力したら右上の共有アイコンをタップし家族の名前を選んで招待を送ります。
共有したメモは家族全員が編集できるので誤って消さないためにも見出しや更新日時を入れておくと安心です。
共有後に閲覧権限を制限しておく
共有が終わったあとも、誰にどこまで見せるかはあとから調整できます。
ホーム画面から設定をタップし、その中にあるパスワードを選んでください。
一覧から制限を変更したいアカウントを探してタップします。
画面下の編集を押して、閲覧のみを選ぶと編集や再共有ができなくなります。
古い端末を下取りに出す前にパスワードを守る

古いiPhoneには認証情報やパスワードがぎっしり詰まっています。下取りに出すときにロックを解除できる状態で渡すと、思わぬところから情報が漏れるかもしれません。
そこでiCloudからサインアウトしてキーチェーン(パスワード保存機能)を解除したあと、「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行しましょう。こうすると端末に残っていたパスワード情報が完全に消えて、下取り先でも安心して手放せます。
プログラマーの経験からアドバイスすると、キーチェーンの同期先が他のデバイスに残っていないかもチェックしてください。同期設定がオンのままだと、消してもどこかにパスワードが残る場合があります。
設定のリセットでキーチェーンだけオフにする
設定アプリを開いて一般をタップします。
下にスクロールしてiPhone転送またはリセットを選びリセットをタップします。
画面の指示にしたがいすべての設定をリセットします(データは消えません)。
再起動後に設定アプリでアカウントを開きiCloudキーチェーンがオフになっているか確かめます。
リセット後にWi-Fiや壁紙などの個別設定が消えるので再設定を忘れないようにしてください。
そのあとにすべてのコンテンツと設定を消去する
まず設定アプリを開いて「一般」をタップし、そのあとに「転送またはiPhoneをリセット」を選びます。
表示されるメニューから「すべてのコンテンツと設定を消去」をタップしましょう。Apple IDのパスワード入力を求められるので、アカウントのパスワードを入力してください。
確認画面で「今すぐ消去」を選ぶと、旧iPhoneに残る個人情報やアプリデータがすべて消えます。処理には数分かかる場合があるので、電源に接続しておくと安心です。
消去後は本体のデータが完全に初期化され、消した情報は端末上で復元できません。
よくある質問

iOSのバージョンが古いと移行できませんか?
- iOSのバージョンが古いと移行できませんか?
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両方のiPhoneに最新のiOSを入れておくとスムーズにパスワードが移行できます。iOS17以上を目安に、設定>一般>ソフトウェア・アップデートから確認してください。
iCloudキーチェーンを使わずに移行できますか?
- iCloudキーチェーンを使わずに移行できますか?
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iCloudキーチェーンが一番かんたんですが、どうしても使えないときはFinderやiTunesで暗号化バックアップを作成して復元するとパスワードも引き継げます。この方法ならクラウドを介さずローカルで安全に移せます。
クイックスタートでBluetoothとWi-Fiが必要ですか?
- クイックスタートでBluetoothとWi-Fiが必要ですか?
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はい、クイックスタートはBluetoothと同じWi-Fiネットワークへの接続を使って安全にデータを転送します。両方オンにしておくと接続が途切れにくくスムーズです。
2段階認証アプリのデータも一緒に移せますか?
- 2段階認証アプリのデータも一緒に移せますか?
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多くの場合、Authyなどクラウド同期に対応したアプリなら自動で引き継げますが、Google Authenticatorなど同期なしのものは手動でQRコードを再登録する必要があります。移行前にバックアップコードを必ず控えておくと安心です。
iCloudを使わずにパスワード移行できる?
iCloudを使わずにパスワードを移行するにはパソコンで暗号化バックアップを取って新しいiPhoneに復元する方法が便利です。ネット回線の速度を気にせずに一気にデータを移せるうえ、iCloudストレージの残容量も節約できます。WindowsやmacOSのどちらでも対応していて、アカウント情報だけでなく写真やアプリ内データまでまとめて引き継げるのが大きな魅力です。
移行後に古いiPhoneのパスワードは消したほうがいい?
移行後に古いiPhoneのパスワードを残したままだと、誰かが使おうとしたときに戸惑いが起きやすいです。特に手放す予定がある場合は、きちんと消しておくと安心感が違います。
念のため写真や連絡先が移行できているかチェックしてからパスワードを削除しましょう。
設定>一般>転送またはiPhoneをリセット>すべてのコンテンツと設定を消去を選んで進めるとパスコードを含めた全データが消えます。
消去前にiCloudや外部サービスからのログアウトや二段階認証のバックアップを忘れないようにしましょう。
FaceIDだけでパスワードを自動入力できる?
Safariや対応アプリでログイン画面を開いたあと、FaceIDで顔認証すればユーザー名とパスワードがそのまま入力できるようになります。iOS16以降かつFaceID搭載iPhoneで使える機能で、いちいちパスワードを探す手間がなくなるのがうれしいポイントです。入力の手間と誤入力をグッと減らせるので、新しいアカウントも安心して管理できます。
まとめ

これまでの手順で旧iPhoneから新iPhoneへパスワードを無事移行できました。
まずQuickStartを使って自動転送し、続いてiCloudキーチェーンでログイン情報を同期します。もしトラブルがあっても手動でキーチェーンをエクスポートして読み込む方法があるので安心です。最後にアプリやサイトへのログインを確認して完了です。
これで新しいiPhoneでもこれまで通り快適にパスワード管理ができるようになります。さっそく新生活を楽しんでください。